出版社:ダイヤモンド社 著者:金谷年展、赤池学
発行:2007年12月
“家電メーカー、パイオニアのプラズマテレビ「KURO」が、ヨーロッパで実施したブラインドテストで薄型液晶テレビを大きく上回る6割を超える支持を得て、業界関係者をおどろかせた”という話をご存知でしょうか。
価格競争に巻き込まれ、赤字続きの苦しい経営の元だったプラズマテレビ事業で、パイオニアはオーディオ機器メーカーとして培ってきた高い技術力とブラインドテストの伝統により、一躍プレミアム・ブランドとしての地位を築きました。
本書はパイオニアの「KURO」開発の軌跡をたどりながら、著者の提唱する「感性価値:脳が認識するブランド価値と、五感によって得られるブラインド価値の両立によって成立する価値観」を得ることの重要性を説きます。本物だけが持つプレミアム性と、それを作りあげるためになにが必要なのかということでしょう。
本書によって、パイオニアが、国内初の自社開発によるダイナミックスピーカーを作ったメーカーだということを知りました。音楽好きとしては、これまで本当にお世話になってきました。そのパイオニアの歴史に触れた後半も、とても楽しく読みました。まさにプレミアム・ブランドたるにふさわしい歴史を持った企業の“伝記”としてもお楽しみいただけます。
評者:丸善 丸の内本店 ビジネス・経済書担当・ブックアドバイザー 本橋一夫
引用:表紙はダイヤモンド社サイトから引用