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ルールの世界史

2022.4.5

出版社:日経BP 日本経済新聞出版本部  著者:伊藤毅

発行:2022年01月

「風の時代」に入り、価値観やルールが変わったと言われて久しい。大仰に言わずとも、今年開催されたオリンピックを観て、ルールは何の為に存在するのかと首をかしげた方も多いかと思う。著者の言葉を借りると、ルールは「人の欲求を開花させるためのコミュニケーション・ツール」である。人はルールを使って遊び、スポーツを楽しみ、お金儲けをし、創造活動を行う。ラグビーとサッカーが分かれた理由、東インド会社の設立背景や自動車産業の黎明期など、お馴染みのトピックをルールという視点から捉え直す作業は新鮮である。また、ルールメイキングは国によって異なる。日本はルールを守ることも大事だが、それ以上にルールの大義名分や理念、規範といったものを大事にするお国柄だと説く。ルールに則り横綱に昇進した力士が、休場し続けたり、勝てなかったりすると「横綱としてふさわしくない」と、非難されたり、品位を求められる例は、確かに日本固有の考え方なのかもしれない。

「楽しそうな未来像」が描けた時にルールは生まれ、チューニングにより発展し、規制により自らの首を絞め、終焉・硬直化を迎える。そして新たに発展型のルールが生まれる・・と、ルールがらせん状に発展していくことで、私達の人生は楽しく豊かになっていくのである。身近に存在する「ルール」を改めて見直すきっかけとなる1冊。

BIZCOLI 近藤孝子

表紙は日本経済新聞出版サイトから引用

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